もうこれ以上登れない! リードクライマーがルートの途中で止まってしまいました。この場合のオプションとして最も簡単なものは、そのままトップロープでロワーダウンしてもらい、別の人に回収してもらうか、隣のルートを登って回収する方法です。このどちらも不可能な場合、リスクを最小にして下降と回収を行うにはどうすればよいでしょうか?
一本のボルトから下降?
支点が壊れた場合のリスクを回避
ボルトの強度が分からない場合は、支点が壊れた場合のリスクを回避する方法をとる必要があります。
ロワーダウンか懸垂下降か?
ボルトにかかる負荷
ボルトにかかる負荷は、例えば体重 70 kg のクライマー2人の場合、ロワーダウンをする方が懸垂下降をする場合よりもおよそ 25 daN 大きくなります。この数値はボルトに求められる強度 2500 daN と比較すれば考慮する必要がない程度のものです。よってロワーダウンと懸垂下降では、ボルトにかかる負荷は実質的に同じだと考えることができます。
よって、下降中クライマーが常にタイインされた状態を維持できるロワーダウンが最善の方法と言えます。
敗退時のロワーダウンのテクニック
2つの支点を使ってロワーダウン
足に荷重を移し、クイックドローにかかっているテンションを抜きます。アンカーにクイックリンクをセットします(クイックドローの下側に掛けます)。ロープをクイックリンクに通し、クイックリンクのゲートをしっかりと締めます。クイックドローを外します。下のボルトに移動。同じ作業を行 います。下降しながらギアを回収します。
支点が壊れた場合
1番上の支点が壊れた場合、クライマーは2番目の支点で止まります。
プルージックを付けてロワーダウン
足に荷重を移し、クイックドローにかかっているテンションを抜きます。アンカーにクイックリンクをセットします(クイックドローの下側に掛けます)。ロープをクイックリンクに通し、クイックリンクのゲートをしっかりと締めます。アクセサリーコードでプルージックノットを作り、ロッキングカラビナでハーネスのビレイループに取り付けます。クイックドローを外します。下降しながらギアを回収します。
支点が壊れた場合
1番上の支点が壊れた場合、クライマーは未回収のクイックドローの下でプルージックノットによって止まります。
実験: 9.7 mm のシングルロープに7 mm のプルージックを巻き、80 kg の荷重を 4 m フォールさせる
結果:
– フォールは止められた
– アクセサリーコードとロープには不具合なし
プルージックはどちらの方向に引かれても止まります。
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