性能評価システムについて

ペツルは、ヘッドランプの照射性能を正確に評価するために、性能データを計測するための方法を開発しました。この結果得られたデータにより、各種ヘッドランプの照射性能を比較することができます。目的や好みに合わせて製品を選択する際に役立ちます。

 

データの計測

データの計測は、同一のヘッドランプを5体使用して行います。ここで使用するヘッドランプは、製造ラインからランダムに選びます。製品付属のものと同じ電池(アルカリまたは充電式)2セットを使用して、1体ずつテストを行います。電池が付属していないランプの場合は、良質のアルカリ電池を使用します。テスト環境を一定にするため、全てのテストは気温摂氏 20 度の環境で実施しています。
最終的に公表値として使用するデータは、10 件のテスト結果(ヘッドランプ5体と電池2セット)の平均値です。

光束(ルーメン)

光束とは、光源から全ての方向に放出される光の量のことです。単位はルーメン(lm)です。光束は、球形の測定器で計測します。この値は、照射距離の補足的な情報になります。照射距離が同じでも、ランプの種類によって光源からでる光の量は異なります。照射距離と同様、電池の消耗につれて光束も徐々に減っていきます。ペツルのランプには、それぞれの製品の最大出力が分かるように光束の値が表記されています。

ルーメン値の比較:
– ロウソク: 10 ルーメン
– 『ティカプラス 2』(最大レベル): 70 ルーメン
– 家庭用照明(白熱球): 100 ~ 200 ルーメン
– 『ミオ RXP』(ブーストモード): 205 ルーメン
– 『NAO』(最大): 355 ルーメン

ルーメン値の比較

ビームパターン

ペツルのヘッドランプはむらのない光を放つよう設計されています。 このビームの周りに光が拡散した外郭部分があります。 この外郭部分の光があることによって、ヘッドランプの明かりとして使いやすい光となります。ビームパターンは光源の種類や光学部品によって決まります。ビームパターンはワイドビームとスポットビームの2つに分けられます。

むらのある光とむらのない光

ワイドビーム

ワイドビームは、近距離を照射する光で、ゆっくりした活動に適しています。

ワイドビーム

スポットビーム

光を集中させ、距離の離れた場所を正確に照らすことができます。

スポットビーム

 

照射時間、照射距離

最小照度

照射距離と照射時間の計測には、基準となる数値、つまりヘッドランプとして機能するのに必要最小限の照度を定義する必要があります。ペツルは、この最小照度を満月の夜の月明かりと同程度(0.25 ルクス)と定義しました。この数値を基にして照射距離と照射時間を計測しています。

照射時間

ランプから2メートルの距離で 0.25 ルクス以上の照度を保つことができる時間です。明るさがこのレベルを下回ると、ヘッドランプとして機能しないと考えられます(夜間の歩行や文字の認識等が困難)。

照射距離

0.25 ルクス以上の照度で照らすことができる距離をいいます。

シグナルライトの計測方法

ペツルの評価システムでは、シグナルライトとして充分な機能を果たすためには 100 m 以上離れた位置から視認できる必要があり、視認距離が 100 m を下回るとユーザーの安全を確保するには不充分と判断されます。
照射時間は、ランプから 100 メートルの距離で 0.00001ルクス以上の照度を保つことができる時間です。

電子制御機能付ヘッドランプ

電子制御機能付ヘッドランプは、電池の残量がわずかになるまで光の強さを一定に保ちます。
ヘッドランプの性能データの中に距離と時間の関係を表すデータが含まれています。
電池の残量が少なくなると、制御機能は自動的に停止します。光量レベルが自動的に下がり、サバイバルモードになります。光を最小限の強さに保つことによって電池の寿命を伸ばし、電池を交換するのに充分な時間を確保します。

電子制御機能付ヘッドランプ:使用時間による照射距離の変化

電子制御機能付ヘッドランプ: 使用時間による照射距離の変化

電子制御機能が付いていないヘッドランプ

電子制御機能が付いていないヘッドランプでは、通常照射距離は電池の消耗につれて徐々に短くなります。

電子制御機能が付いていないヘッドランプ:使用時間による照射距離の変化

電子制御機能が付いていないヘッドランプ: 使用時間による照射距離の変化

 

保護性能

IPXX: 保護等級

IP 保護等級は国際規格です。固体(粉塵等)及び液体(水、油等)の侵入に対する製品の保護性能を表します。「IP XX」という形式で表現され、「XX」の部分には 2桁の数字が入ります。1桁目は固形物に対する保護性能、2桁目は水に対する保護性能を表し、その内容は以下の通りです。

– 固形物に対する保護
X = 該当なし
0 = 保護なし
1 = 直径50 mm 以上の固形物に対する保護
2 = 直径12.5 mm 以上の固形物に対する保護
3 = 直径2.5 mm 以上の固形物に対する保護
4 = 直径1 mm 以上の固形物に対する保護
5 = 製品の機能に支障をきたすほどの量の粉塵の侵入に対する保護
6 = 粉塵の侵入に対する完全な保護

– 液体に対する保護
X = 該当なし
0 = 保護なし
1 = 鉛直に滴下する水に対する保護
2 = 鉛直から15°以内から滴下する水に対する保護
3 = 鉛直から60°以内からの散水に対する保護
4 = あらゆる方向からの散水に対する保護
5 = 水の噴流に対する保護
6 = 水の強い噴流に対する保護
7 = 一時的な水没に対する保護(水深1 m で30 分間)
8 = 長時間の水没に対する保護(水深1 m よりも深い位置で、製造者により定められた時間)

ペツルのヘッドランプの耐水性能は2つのカテゴリーに分けられます:

全天候型(IP X4 または IP X6)

全天候型 IPX4様々な気象条件に耐えることができます: 多湿、雪、雨、短時間の水没等。ランプ内部に水が浸入しても点灯し続けます。接点はステンレススチール製で、電子回路には防水コーティングが施されています。水が内部に入った場合は、内部を充分に乾かし、電池を交換する必要があります。電池の接点に腐食や損傷がないか点検してください。

防水型(IP X7 または IP X8)

防水 IP68水の浸入を防ぐ構造です。水深 1 m または 5 m で 30分以上の水没に耐えることができます。電池交換の際等に内部に水が入った場合は、充分に乾かす必要があります。
注意: ヘッドランプの防水性を保つには、取扱説明書に従ってメンテナンスや保管を行ってください。注意: ランプの中に海水が入った場合は電池を取り外し、きれいな水で充分すすいだあと、乾燥させてください。

電磁環境適合性

電磁環境適合性(EMC)とは、電気機器が付近の電磁波によってその動作を阻害されることがない、あるいは自身の動作によって他の機器の動作を阻害することがないことを意味します。
ペツルのヘッドランプは全て電磁環境適合性に関する 89 / 336 / CEE 指令に適合しています。CE の認証マークが付いた機器と干渉することはありません。