1. 現在の状況：

1.1. 2016 年 3 月 30 日、ユーザーが用具の定期点検を行っている際、ステンレススチール製アームにひびが認められる『アサップ ロック』を３つ確認しました。
この情報を受けて、ペツルは在庫している全ての『アサップ ロック』を点検しましたが、アームにひびが認められる製品はありませんでした。
また、ひびのある状態をシミュレーションするため、アームに切れ目を入れた『アサップ ロック』を用いて機械的試験を行いましたが、これによるユーザーへの更なるリスクは認められませんでした。
第一段階の検証においては、リベットを止める際の製造パラメーターによりステンレススチールに潜在的な残留引張応力を生じたこと、また熱処理パラメーターによりパーツの材質が硬化し過ぎたことの２つが原因となり、ひびが生じたとの仮説を立てました。
ペツルはこの現象を取り除くため、これらの検証に基づき製造工程に技術的な修正を加えました。

以上の情報は2016 年 4 月 18 日付で公開されています:
https://www.alteria.co.jp/professional/『アサップ-ロック』に認められたひびについて/

1.2. 2016 年 4 月 18 日以降、アームやジャミングローラー側部のステンレススチール製プレートにひびが認められたケースの報告は、非常に限られています。

現在に至るまで、この現象による返品率は非常に低い状態です。通常の使用環境下では、全世界における返品率はほぼゼロ (0.001%) ですが、海上等の腐食が起こりやすい環境下では比較的高く (0.02%) なっています。

2. ユーザーへの危険

ひびが認められた『アサップ ロック』の返品を受けて、EN 12841 規格に基づく静荷重、動荷重試験を追加で実施しました。

これらの追加試験により、器具を取扱説明書に基づく方法で使用する限り、『アサップ ロック』のアームやジャミングローラー側部プレートのひびによるユーザーへの差し迫ったリスクはないことが判明しました。

注意: 『アサップ ロック』は常にエネルギーアブソーバー付ランヤード『アサップソーバー』や『アブソービカ』（L57） と併用する必要があります。

ひびが認められた『アサップ ロック』について、冶金学的な分析を行いました。この分析により、リベットを止める際の製造パラメーターによりステンレススチールに潜在的な残留引張応力を生じたこと、また熱処理パラメーターによりパーツの材質が硬化し過ぎたことの２つが原因となり、ひびが生じたという我々の当初の仮説が裏付けられました。
また腐食が起こりやすい環境が、材質が硬化し過ぎたステンレススチールへのひびの発生を助長したとも結論付けました。

3. 是正措置

再びこのような現象が生じるのを防ぐため、ペツルは製造工程に技術的な修正を加えました。 (2016 年 4 月 18 日付の情報をご参照ください)。

4. この問題が生じた場合

– 万が一『アサップ ロック』にひびが認められる場合、使用を直ちに中止し (株) アルテリア (TEL：04-2969-1718) までご連絡ください。返品と交換の手続についてご案内いたします。

– 僻地での作業に従事している等の理由ですぐに対応できない場合、その日の作業を終えた時点で器具の使用を中止し、交換のために返品してください。試験結果により、ユーザーへの差し迫ったリスクはないことが確認されています。

– 本件に関するメーカー保証は 10 年に延長されます。

皆さまの信頼が得られるよう、ペツルは引き続き高品質な用具を提供し、製品の改善に取り組んでいきます。本件に関してご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

ペツル チーム