障害物や地面に近い場所での『アサップ』の使用

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警告

  • 以下の補足情報を読む前に取扱説明書をよく読んでください
  • ここで紹介する技術を使用する前に、取扱説明書の内容を十分に理解する必要があります
  • これらの技術を身に付けるためには、トレーニングが必要です
  • これらの技術を自身で実践する前に、使用方法を熟知していて責任能力のある人に相談してください

障害物や地面に近い場所での『アサップ』の使用

クリアランスとは、墜落時に地面に衝突することを回避するため、『アサップ』の下に確保されるべき空間のことを言います。

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1. ユーザーの体重による変化

ユーザーの体重が 80 kg の場合のクリアランスは、100 kg の場合の数値から 5 cm を引いたものになります。
ユーザーの体重が 140 kg の場合のクリアランスは、100 kg の場合の数値に 15 cm を足したものになります。

警告: 「ユーザーの体重」には、装備の重量も含まれます。

2. ロープの伸び(E)を忘れないでください

ロープが伸びる長さはアンカーからの距離によって変わるため、クリアランスの計算式に変数が足されることになります。
ロープの伸びは、現場の状況や使用する器具を把握しているユーザーのみ予測することができます。

静荷重での伸び率は EN 1891 規格で 5 % 未満になるよう定められています。
ただし、墜落時のロープの伸びは正確に測ることはできず、また製品ごとに異なります。

例: 動荷重での伸び率を 10 % とした場合:
– アンカーから 10 m の地点では 1 m 足す必要があります。
– アンカーから 50 m の地点では 5 m 足す必要があります。このような場合は、ロープの伸びを抑えるため中間支点を設けることをお勧めします。

3. 『アサップ』を意図的に高い位置でロックさせる

作業位置で止まっている時、『アサップ』はフォールアレストアタッチメントポイントよりも低い位置に自重で下がってしまいます。
地面や障害物に近い場所で作業する時は、クリアランスを小さくするため、『アサップ ロック』のロック機能を利用してください。
『アサップ』 B71 及び『アサップ』 B71 AAA には、ロック機能はありません。『アサップ』を高い位置に維持するため、下に素早く引くことにより意図的にロックさせることができます。ユーザーの安全にかかわる場合を除き、意図的にロックさせることはお勧めできません。意図的なロックを繰り返すと、『アサップ』の磨耗を早めます。また、器具に触れることで『アサップ』のロックが気づかないうちに解除されてしまうことがあります。

4. ロープのたるみに注意してください

地面に近い場所ではロープの重量が軽いため、ロープにたるみができて潜在的な墜落距離が長くなる可能性があります。ロープが『アサップ』の中をスムーズにスライドしていることを確認することが重要です。

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5. ロープ登高中に『アサップ』をより良い位置に保つ方法の例