メカニカルアドバンテージの計算方法

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メカニカルアドバンテージを使用したホーリングシステムは、荷重を引き上げるのに必要な力を減らすことができます。メカニカルアドバンテージは、動滑車の効果に基づくものです。

警告

  • • この技術情報を参照する前に、関連する製品の取扱説明書をよく読んでください。ここにある補足情報を理解するには、まず取扱説明書に掲載されている情報を読み、理解する必要があります
  • • ここで紹介する技術を身に付けるためには適切なトレーニングが必要です。ここで紹介する技術を実践する前に必ず、1人で安全に行う能力があることを上級者に確認してください
  • • ユーザーの活動に関連した技術例も紹介しています。ここに紹介されていない方法もあります

 

1. 動滑車の効果

ロープに荷重が吊り下がり、その上方に設置された定滑車を通った反対側のロープをユーザーが保持している状況を考えた場合、片方のロープにかかる荷重の全ては、定滑車を挟んだ反対側のロープに伝わります。

荷重が 100kg の場合、ユーザーは 100kg 相当の力で自分側のロープを保持する必要があります。それぞれの側のロープに 100kg 相当の力がかかるため、定滑車が支えるのは 200kg となります。

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備考: この理論は、実際には存在しない効率 100% の滑車でのみ成り立ちます。実際は、滑車の効率は 50% から 98% です。計算を簡単にするために、ここでは効率 100% の滑車を前提に説明します。

2. メカニカルアドバンテージの計算

ホーリングシステムの効率 (E) は、ユーザーがロープを引く力が何倍で作用するかを示す係数です。例えば、ユーザーが素手で最大 20kg 相当の力でロープを引ける場合、3倍力のホーリングシステムを用いれば 60kg の荷重を引き上げることができます。この効果は、引かれるロープの長さが増えることによって得られます: 3倍力のホーリングシステムで荷重を 1m 引き上げるためには 3m のロープを引く必要があります。

ホーリングシステムの効率 (E) は、それぞれの動滑車の効果を加えていくことによって計算できます。

初めにシンプルなシステムの図を描き、次にロープを引く力 F を書きます。

力 F を、ロープに沿ってそれぞれの動滑車の効果を加えながら伝達していきます。

ダブルプーリーやロープクランプ等によって複数のロープが荷重に接続している場合、接続しているそれぞれのロープに作用している力を加えます。

1倍力ホーリングシステム

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2倍力ホーリングシステム

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3倍力ホーリングシステム

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備考: 3倍力のホーリングシステムの長所は、設定が容易なこと、および追加の動滑車1個と適度な長さのコードで高倍力のシステム(7倍力)に切り替えられることです。

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4倍力ホーリングシステム

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5倍力ホーリングシステム

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