『アサップ』および『アサップ ロック』を用いた垂直ライフラインでのフォールアレスト

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警告

  • • この技術情報を参照する前に、関連する製品の取扱説明書をよく読んでください。ここにある補足情報を理解するには、まず取扱説明書に掲載されている情報を読み、理解する必要があります
  • • ここで紹介する技術を身に付けるためには適切なトレーニングが必要です。ここで紹介する技術を実践する前に必ず、1人で安全に行う能力があることを上級者に確認してください
  • • ユーザーの活動に関連した技術例も紹介しています。ここに紹介されていない方法もあります

 

ライフライン上でのモバイルフォールアレスターの使用は、『アサップ』および『アサップ ロック』の取扱説明書に記載されている通り、EN 353-2 および ANSI Z359-15 に基づいています。ユーザーが鉄塔、はしご、屋根等の構造物を登ったり歩行したりする間、モバイルフォールアレスターはユーザーの動きに合わせてロープ上を移動し、墜落した際に墜落を停止する役割を果たします。モバイルフォールアレスターはワークポジショニングには使用できません。この用途には『グリヨン』『プログレス』等のワークポジショニング用ランヤードを使用できます。
 

EN 353-2 および ANSI Z359-15 に適合した使用方法

 

 
1. 『アサップ ロック』の場合
 
『アサップ アクシス』、末端が縫製処理された『アクシス』および『パラレル』を用いた EN 353-2 に適合した使用

『レイ』を用いた ANSI Z359-15 に適合した使用

 

 
2. 『アサップ』の場合
 
『アサップ』では、利便性によりユーザーはエネルギーアブソーバーを使用するかどうかを選択できます。エネルギアブソーバーを使用すると、作業場所とロープとの距離をとることができます。
 
『アサップ アクシス』を用いた EN 353-2 に適合した使用

『レイ』を用いた ANSI Z359-15 に適合した使用

 


 
注意: ANSI Z359-15 規格では、工具を使わずにコネクターを取り外せないことが求められています。そのため、ポジショニングバー『キャプティブ』を使用してください。
 

 

『アクシス』および『パラレル』を結び目で支点に連結した、規格に適合しない可能性のある使用


 


 
『アサップ』および『アサップ ロック』を、結び目で支点に連結した『アクシス』および『パラレル』上にセットした場合、EN 353-2 で定められたロープの強度についての要求事項を満たしません。これらのロープで8の字結びを作ると、規格で求められる 22 kN を満たしません。この要件を満たすのは、末端が縫製処理されたもののみです。

しかしながら、ペツルはこれらのロープに8の字結びを作った際の強度 (『パラレル』が 15kN、『アクシス』が 19kN) が、モバイルフォールアレスターを用いた通常の使用においてユーザーのリスクを回避するのに十分であると考えます。
 

 

『アクシス』および『パラレル』を用いた、規格に適合しない可能性のある『アサップ』の使用


 
EN 353-2 規格の2つの要求事項の組合せにより、『アクシス』および『パラレル』上にセットした『アサップ』は認証されません

– 墜落試験で生じる荷重が 6 kN を超えない

– モバイルフォールアレスターが取外し可能なエネルギーアブソーバーと併用できる場合は、エネルギーアブソーバーを併用せずに全ての試験に合格する必要がある

『アサップ』をエネルギーアブソーバーを併用せずに『アクシス』および『パラレル』上にセットして、EN 353-2 規格に基づいた動荷重試験を行ったところ、衝撃荷重は6 kN 近くになりました。『アサップ アクシス』を用いた同試験においては、ロープに内蔵されたエネルギーアブソーバーにより、衝撃荷重は6 kN を下回りました。

これが『アサップ』の EN 353-2 認証において、『アサップ アクシス』のみが併用を認められている理由です。エネルギーアブソーバーを併用してもしなくても使用可能です。

しかしながら、認証試験は支点から近い距離 (30 cm) で行われます。仮に支点から 1 m 以上離れた位置で試験が行われた場合、衝撃の一部がロープの伸びにより吸収されるため、『アクシス』や『パラレル』上でも衝撃荷重は 6 kN を下回るでしょう。実験室で行われる規格の試験は、実際の作業現場で通常起こりうる状況よりも厳しい条件で行われています。

結論: 支点から近い距離で墜落した際の危険を抑える対策をとり、また『アサップ』および『アサップソーバー』の取扱説明書に記載された注意事項を守っていれば、エネルギーアブソーバーを併用せずに『アサップ』を『パラレル 10.5 mm』および『アクシス 11 mm』上で使用しても、ユーザーに実際の危険が及ぶことはない、とペツルは考えています。