2人以上でグリヨンを支点として使用する場合

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EN 795 に適合した他の全てのアンカー 用具と同様、2015 年以降のグリヨンには 「single-person use only」(ひと1人用) とマーキングされています。しかしながら、現場においては2人以上で使用することも可能です。

警告

  • • この技術情報を参照する前に、関連する製品の取扱説明書をよく読んでください。ここにある補足情報を理解するには、まず取扱説明書に掲載されている情報を読み、理解する必要があります
  • • ここで紹介する技術を身に付けるためには適切なトレーニングが必要です。ここで紹介する技術を実践する前に必ず、1人で安全に行う能力があることを上級者に確認してください
  • • ユーザーの活動に関連した技術例も紹介しています。ここに紹介されていない方法もあります

 

規格の内容

EN 795 は、2012 年に編集された内容に基づいて 2015 年に改訂されました。この新しいバージョンでは、使用人数が1人に制限されています。この内容は、通常複数名で使用されるようなアンカーには適切でないと考えられます。

備考: グリヨンは、複数名での使用が可能なアンカーの規格 TS 16415 の要求事項を満たしていますが、EN 795 のマーキングに関する要求事項に合わないため、同規格の認証は受けていません。

また、仮設水平ライフラインとしてのアンカーの規格 EN 795 type C は、ライフライン上に中間支点を設けて、ユーザーが1人ずつ各区画に分かれて自己確保をとる使用を考慮していません。

初代グリヨン (2017 年より前のモデル) には、この要求事項に基づく制限を設けていませんでした。

現場での使用

必要に応じ、2017 年以降のグリヨンはひと2人以上で使用可能です。

状況に合わせて、最も適切に用具を使用するためのリスク評価を必ず行ってください。

備考: 他の全てのアンカーと同様に、ユーザーの安全を一つの用具に委ねるのを防ぐために、バックアップをとることを推奨します。

レストレインでの使用例

2~3人がレストレイン用ランヤードで適切に行動範囲を制限され、墜落の危険を回避している場合、グリヨン1本でライフラインを設定することも可能です。

ワークポジショニングでの使用例

複数のユーザーがライフラインに体重を預けた場合、1本のグリヨンを複数名で使用することには疑問が生じます。快適性の点に限っていうと、ユーザーの動きが他のユーザーに伝わるため不安定になるでしょう。

フォールアレストでの使用例

使用中は、1本のグリヨンを使用することに問題はありません。但し、作業者の墜落は考慮しておかなければなりません: ライフラインのたわみによって他の作業者が墜落しないか。最初に墜落した作業者の救助をどのようにおこなうか。

条件の厳しい状況として、2人の作業者が同時に墜落した際の落下試験を行いました (中間支点を設けないライフライン上でエネルギーの非常に大きな墜落)。

13m のライフライン上で 250kg のおもりを 1m 落下させました。

この大きな墜落により支点にかかる荷重は、それほど大きくありませんでした。一方、ライフラインには顕著なたわみが生じるため、これを考慮に入れてシステム全体を考える必要があります。また、ライフラインの初期張力の大きさは、試験結果に大きな影響を与えませんでした。

ライフラインの初期張力 グリヨン (長さ調節器具) 支点にかかった最大荷重 たわみの最大値
1 kN
3 kN
0.01 cm
0.01 cm
6kN 未満
7 kN
6 m
5 m

下図は 2017 年より前のモデルのグリヨンでの使用条件です