引き上げと引き降ろしのレスキュー技術

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全ての作業は、2つの独立したシステムにおいて行う必要があります。2つのシステムは、両方を引き上げ用として使用する、またはそれぞれを引き上げ用システムとバックアップ用システムに分けて使用することもできます。

警告

  • • この技術情報を参照する前に、関連する製品の取扱説明書をよく読んでください。ここにある補足情報を理解するには、まず取扱説明書に掲載されている情報を読み、理解する必要があります
  • • ここで紹介する技術を身に付けるためには適切なトレーニングが必要です。ここで紹介する技術を実践する前に必ず、1人で安全に行う能力があることを上級者に確認してください
  • • ユーザーの活動に関連した技術例も紹介しています。ここに紹介されていない方法もあります

                              

1. 作業用システムとバックアップ用システムで構成される引き上げシステム

荷重は、引き上げ用ロープに集中します。バックアップ用ロープは、作業用システムの支点やロープが破断した際に荷重を支えられるように、常にたるみのない状態を維持します。


長所

  • 必要なメカニカルアドバンテージシステムが1つのため、素早く簡単に設定が可能です
  • 引き上げ用とバックアップ用で異なるシステムの使用が可能です (例: ウィンチ等)
  • 狭いスペースでの作業に適しています

短所

  • 作業用システムが破断した場合、バックアップ用ロープに荷重がかった際に必要なクリアランスが非常に大きくなります
  • 引き上げ用システムに意識が集中することにより、バックアップ用ロープにたるみが生じるリスクがあります
  • バックアップ用システムが軽視されるリスクがあります。注意: バックアップ用システムは、常に操作できる状態にしておく必要があります
  • 引き上げ用システムが破断した後に荷重のかかる方向が変わり、バックアップ用ロープが摩擦にさらされるリスクがあります

2. 2つの作業用システムで構成される引き上げシステム

2つのシステムが同じ機能を持ち、並行して使用されます: それぞれのロープに荷重が分散されます。


長所

  • チーム内の協調性が高い場合、シンプルな引き上げ用システムで重い荷重を引き上げることが可能です
  • 1本のロープが破断した場合、もう1本のロープは既に荷重がかかっている為、必要なクリアランスを小さくすることが可能です
  • 引き上げ経路を予測できる場合、複雑な引き上げのルート取りが可能です

短所

  • 荷重を2つのシステムで完全に均等にすることは困難で、1つのシステムが全荷重を保持する状況が生じる可能性があります。チーム内での高い協調性が必要です