ヨルグ・バーホーベン: 岩場でヘルメットに救われた経験

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この恐ろしい墜落は大惨事になっていたかもしれません。熱心にトラッドクライミングを行うヨルグ・バーホーベンは、ルートで自らプロテクションをセットすることに内在するリスクについて、自覚しています。結果的には無傷でしたが、ヨルグはドリーム・キャニオン (アメリカ、コロラド州) でのクライミング中に、あのように嫌な墜落をするとは考えていませんでした。その墜落について、また TOP AND SIDE PROTECTION を採用したペツルヘルメットを被る利点について、ヨルグ自身が語ります。

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クライミング中にヘルメットを被ることは、石やスマートフォン等の落下物だけでなく、墜落時の衝撃から頭部を保護する目的があることも、知っておく必要があります。ヨルグ・バーホーベンは、スポートクライミングの高難度課題に挑戦することを好みながら、トラッドクライミングにも打ち込んでおり、ヨセミテのビッグウォールをフリーで登るクライマーでもあります。1年と少し前、彼はおぞましい墜落によってヘルメットの効果を試すこととなりました。

「China Doll はコロラド州ボルダーの近くにあるドリーム・キャニオンの岩場の素晴らしいトラッドルートです。私はヴェイルで行われるコンペのために現地にいて、このエリアの主要なルートをいくつか登ろうと決めていました。China Doll を見たとき、瞬時に取り付きたくなりました。このルートはかなり長く、クラックからコーナーを登っていきます。ルートの下半分にはボルトがありますが、私は全体を通してトラッドで登ろうと決めました」

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墜落は常に危険を伴う

かつてコンペティターであったヨルグは、2008 年のリードワールドカップで優勝し、トラッド、スポートクライミングで長年の経験があります。2014 年にはエル・キャピタンの「ノーズ」 (The Nose、900 m、5.14a) をフリーで第4登、Dihedral Wall (900 m、5.14a) のフリー第2登、2016 年にはエル・キャピタンのルートをもう1本登っています。China Doll に関しては、「ルートはよく支点が取れ、そこまでランナウトすることもありません。前々日に何度かトライをし、もう登れると思いました。ルートの上部はボルダリーで、足を辛うじてクラックに入れたり、側面に当てたりした状態でいくつかの不安定なムーブがあります。レッドポイントへの2回目のトライで、これらのデリケートなムーブをこなすために全力で挑みました」しかし、クライミングは思っていたようにはいかず、ヨルグは墜落。「恐れていた通りに足が滑ったとき、ロープが脚の後ろにあったせいで墜落中に逆さまになりました。ダイナミックビレイのおかげで、それほど強くは岩に当たりませんでしたが、ヘルメットが無ければ、怪我をしていたのは間違いなかったでしょう

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©2020 PETZL Distribution -Jon Glassberg of Louder Than Eleven (www.lt11.com)

ヘルメットに感謝

不幸にもヨルグは、ロープが脚の後ろにある状態で登っている時に落ち、墜落中に逆さまになるという、クライマーが墜落時に最も恐れる体験をしました。「トラッドクライミングにおいて、変な体勢で墜落することは珍しくなく、それが理由でかなり前に、こういったタイプのルートではヘルメットを被るということを決めました」ただ、このような墜落のリスクは、最後に取ったプロテクションから1歩か2歩分上にきたところでも生じます。岩場でのクライミングに完全に集中していると、ちょっとしたトラバースのムーブ中にロープが脚の後ろに回ってしまうことがあります。「クライマーが身体のコントロールを失った状況では、ちょっとした墜落でも危険な場合があり、そのような場面でヘルメットが頭部の保護に役立つと思います」加えて、TOP AND SIDE PROTECTION を採用したペツルヘルメットは、上部だけでなく、墜落時の前部、側部、後部への衝撃からも頭部を保護します。これはまさしく墜落時に後頭部を強打したヨルグに起こったことです。ペツルの TOP AND SIDE PROTECTION 認証を受けたヘルメットは、落下物だけでなく墜落時の衝撃からもクライマーを保護します。身体の最も重要な部位である頭により高いレベルの保護を提供します。「ロッククライミングや登山では、ボルトルートでもトラッドでも、いつでも墜落して側頭部をぶつけるリスクがある」とヨルグは言います。彼はトラッドクライミングの精神的な側面を好んでいます。「自分で岩を登るラインを見い出し、自分でプロテクションをセットしていく全体のプロセスには、満足感があります。他のスタイルのクライミングも好きですが、それらとはかなり違っています。登る時はいつも、ヘルメットを被るべきかどうか自問します。スポートルートがあるシングルピッチの典型的な岩場で、ルートがオーバーハングしている場合、たいていは被りません。それぞれの経験と状況に応じて、個々のクライマーが選択すべきことだと思います。とはいえ、登り始める前にそのことについて考える時間を作ることが、最初の、そして最も重要なステップだと思います」。頭をクールに保ちたいときは特に。

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