ニーナ・カプレズ、アスリートであること、母になること、そのバランスを見つけること

logo_petzl


ペツルを象徴するアスリート、ニーナ・カプレズは、最近登ったルートについて語るのではなく、新たな経験をめぐる彼女の視点を共有してくれました。子供の誕生が人生を変えることは、親であれば誰もが知っているはずです。母としての新しい喜びと挑戦の中で、ニーナはロッククライマーであり、これからもそうあり続けるでしょう。ニーナは自分の視点を、未来の母親を含む全ての母親と共有することを望んでいます。


aotmnina1

自分と身体を信じること

私が自分の経験を共有することの重要性を感じたのは、妊娠をおそれている女性アスリートが多くいたからです。身体が強く、よく機能し、自由に動くことを望んでいます。でも、妊娠は世界において最も自然なことです。人間の身体は奇跡的で、信頼できるものです。妊婦は病人ではなく、外出もできるし動き回れるということを示すことが大事です。クライミングは私のスポーツであり、だからこそ登り続けたのです。そして、登っている時、ほとんどの場面で安心していられました。たとえば、ウォーキングには魅力が感じられませんでした。クライミングを続けるために、私は自分のアプローチを変えました。大きめのシューズやより快適なルートを選ぶ、衝撃を受けない、ビレイはあまりしないようにする等です。パフォーマンスはもはや重要ではなく、ただ気持ちよく登りたかったのです。動く時はそっとです。妊娠中は自分の身体をよく意識していたし、自分の中で育っているものについて意識していました。自分を大切にしたいという思いがさらに強くなりました。登ることよりも聞くことに集中していました。

aotmnina2

ダイナミックであること

クライミングは腹筋を使うので、体形をキープすることができます。外にいることは心地よく、友人やパートナーと良い時間を過ごすことができました。みんな私を助け、支えてくれました。クライミングをやめたのは、出産の数週間前です。自分のための時間を作り、陣痛と分娩に備えました。

産後4ヵ月程度と、比較的早くアスリートとしてのベースとなる身体に戻ることができました。とはいえ、身体がむくんでいる感じがあり、筋肉もなくなり、どうやったら元の身体に戻れるか考えている自分もいました。でも、身体は覚えているものです。これといった秘訣はありません。アクティブで健康的な生活を送り、身体を適切にケアすれば、妊娠後でも元の身体を取り戻せます。クライミングの身体を取り戻すのは、難しいことではありません。

aotmnina3

適切なバランスを見つける

妊娠中の数ヶ月間は、私の人生が自分だけのものだった最後の時間でした。自分の望むことを自由に、自分のタイミングで行うことができました。出産後、子供がいると自由な時間が減るのは当然で、それが最近で最大の課題ですね。リアは今生後11ヵ月で、健康です。私のフィットネスは完全に元に戻り、全てが順調です。でも、新しい生活のリズムに慣れるのは、肉体面よりも精神面で難しく感じます。リアによって突発的に起こることに左右されるので、かつてあった自由は制限されています。以前のように自由に登りたいとも思いますが、ストレスを溜めないためには、自分が抱く期待を調整する必要がありました。

以前は、アスリートとしての自分の生活にとても満足していました。今は、私生活で完全に満たされていて、それが必然的に重要になってきています。でも、アスリートとしてもうまくやっていく方法を見つける必要があります。それが現在直面している課題ですね。以前は躊躇することなく何週間も出かけることができましたが、今は家族から1週間離れることも難しくなりました。どのようにしてインスピレーションを持ち続け、良い母親でありながら、充実した人生を送れるかを考えています。自分に合ったバランスを見つけようとしています。そして、私たちには面白そうな計画が既にいくつもあるのです。